長新太 死去

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20050627k0000m060041000c.html

うおーんと泣いた子どもたちの鼻の穴から、にゅーっとお化けが飛び出してきて、見開いたページいっぱいの空いっぱいにふくれあがったその目から、うおーんと落ちてきた涙が海になって、見開いたページいっぱいの地面いっぱい埋め尽くした子どもたちがいっせいに傘をさしてうおーんと泣き続けている。

そんなお葬式を想像してみる。

濃い緑色か、蛍光ピンクか、どちらかの色を基調に描かれる対象がますますもって奇怪さや滑稽さを増し、姿かたちがあいまいに迫力は満点になってきていた近年の長新太の絵本群は、きっと子どもたちからみえる世界そのものに近づいてきていたに違いない。

緑に静まる、だれもいない深海のように力強いお父さん。
ピンク色の陽光を放つ、お昼さがりのような暖かいお母さん。

長新太は、いつまでも子どもたちと共にあって、油断すると物陰から出てくるんだ。

にゅー、っと。


※追悼として再掲(はてなダイアラー絵本百選のエントリー)
http://d.hatena.ne.jp/beach_harapeko/20040423