メカモ

尺取虫といえば、子どもの頃、動物の動きを模したロボットの玩具があって、なにか蜘蛛のようなやつを買ってもらい、長いこと部屋で埃をかぶっていたのだが、調べたら学研から『大人の科学』シリーズとして復刻されていた。
http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/mechamo.html
当時、これをクリスマスだかなにかで買ってもらったおり、『このロボットは、一切車輪を動かさずに、動物の動きそっくりに動くんだぞ』と、あたかも自分の手柄のように語っていたのは父だったか、あるいは早く父を亡くした我が家に居候し、兄のように面倒を見てくれた叔父であったか。その叔父も先日、父と同様、若くして亡くなってしまったので、事の次第を知ることはもはや出来ない。
そんな私だって、もうすぐ息子が5歳になろうとしているのである。イヤハヤ南友。
自分が父親がいない環境で育ってしまったので、父親業というもののイメージがつかめない。父親などいなかろうと子どもは自分の人格ぐらいなんとかするもんだろう。もっとも環境のせいなどではなく、今時の『父親』イメージの崩壊ぶりは普遍的なものかも知れないのだけれど。
ただ、年頃になった自分が、ウダツが上がらなかったり、体力的に劣ったりする父親を、疎ましく思ったり、馬鹿にしたりした経験が皆無なので(その逆に、素敵なお父様を尊敬遊ばすこともなく)、ただただ将来自分が、疎んじられたり馬鹿にされたり、ましてや尊敬などされたらさぞかし億劫だろうなと思うのみである。
さて、今、実家に帰って、押し入れの奥から埃だらけの『メカモ』が出てきたら、私は一体なにを思うのだろうか。