葉山。それは日本でも指折りのハイソな町。
http://homepage2.nifty.com/mamis/weekly/200312.html
【週刊!三浦半島】この項、すべて引用こちらから

葉山住民の家は明るくのびやかで開放的。俗に”外人ハウス”と呼ばれる趣のあるアメリカンスタイルの古い平屋の家なども多数点在。三浦半島でも屈指の美しい自然の中に、大きな芝生の庭とガーデンセット。このような恵まれた住環境は、葉山の雰囲気をより一層日本離れしたものにしています。また、葉山での楽しみは車の観察です。住民の6割が外車に乗っているのでは?と思われるほど葉山は外国車所有率の高い地域。しかも外車=ベンツorBMWのバカの一つ覚えではなく、プジョー、ミニクーパー、アルファロメオフィアット、ランチァ、アメ車、ルパン三世みたいな車、ベントレーやマセラティランボルギーニまでが入り混じる”まるでモーターショー状態”な町の様子は、葉山人の夢と個性と心の余裕が端的に表現されているようでワクワクします。

そんな葉山に引越してきて一年半、車はおろか免許すら持たない私の交友範囲には、外車を乗り回すような人は一人もいない。みんな車載容量と経済性重視でミニバンだ。だいいち、道が狭くて坂ばかりでいつも渋滞している葉山を出歩くには、チャリで充分だ。飲みに行くのもチャリ。釣りに行くのもチャリ。祭りの時にはハッピ羽織って長柄のあぜ道を爆走するぜ!チャリンチャリン!

そんな葉山町では、商店も御用邸の町に相応しい格式と素材の良さを誇ります。観光客相手でとかく堕落しがちな鎌倉市よりも、格段に上をいくのが葉山の飲食店。料理、従業員のサービス態度、客層、窓外の素晴らしい景色。そのクオリティの高さは筆舌に尽くしがたく、バブルの頃全国各地に出没しひたすら食べまくったおバカな私めも、「灯台下暗し。結局一番美味しく雰囲気も良いのは葉山の海狼(かいろう)だ。」という境地に至ったのでした。ちなみに次点は恩波亭。これも葉山です。ローストビーフなら千花。鎌○山より格段に美味しい。

私の知る葉山の人たちは、葉山のレストランなんかには滅多に行かない。たまに『海狼』なんか誰かが行こうものなら、その話題だけで飲み会が3回は開ける。私の知る葉山の人たちは、週末には家族で、横須賀ジョッパーズや衣笠の大型ショッピングモールへお出かけだ!ミニバンにしておいてよかった!パパ、帰りはサイゼリアでディナーだね!

陶芸家だったり音楽家だったり会社の重役だったり口ひげだったり白髪でポニーテールだったりエコでナチュラルでヘンプでピースな『葉山な人』っていったいどこにいるのだろう。まさかあの、でかい犬に道端でウンコさせて平気な顔で放置してる連中のことではあるまいね。

ところで、リアルな葉山の人間が垣間見える道がある。
北からの逗子・鎌倉方面や、天皇陛下もやってくる有料道路の出口である長柄交差点が葉山の表玄関なら、葉山大道から東へ横須賀に抜ける県道27号線はいわば勝手口。湘南国際村という今時バブリーな見栄っぱりゾーンを過ぎると、見渡す荒野に中古車センターとラーメン屋とラブホテルが点在するここは正に辺境。葉山の見栄が横須賀という本音に消化されていく臓腑のようなこの細道は、町田で育った私には八王子や多摩の荒涼とした風景を思い起こさせ軽く眩暈がする。「ホテル野猿ってどこだー!?」と思い育ってきた私のように、葉山の子供達の心には「『ホテルごっこ』って、何ごっこするとこなんだろう!?」という思いが郷愁として埋め込まれていることだろう。CHEGA DE SAUDADE !

そんなわけで、現実に疲れていて平凡で、住宅ローンや子供の教育で心に余裕がなくっても、休みの日に海っぺたで缶ビール(←見栄っぱり。本当は発泡酒)でも飲んでいれば、誰かが似たような知り合いがやってきて隣に座っちゃうような、そんな葉山だったら私はよく知っているし好きだったりします。