『人形の部屋』(門井慶喜)

人形の部屋 (ミステリ・フロンティア)

人形の部屋 (ミステリ・フロンティア)

9日読了。謎解きによって解き明かされるのが人間の内面、という“日常の謎”系のミステリの魅力にハマり始めたのはここ数年で、古本屋で見るたびに買いためた泡坂妻夫北村薫戸板康二の文庫に日々蒙を啓かれている。今作もまた、衒学の主人公と、彼にとっていちばんの謎であろう娘との日常の描写を軸に、ひとつひとつの謎をゆっくりと解きほぐす慎重な手つきが、父娘関係のナイーブなやりとりと重なり合うようで、たいへん好もしかった。