『密室キングダム』(柄刀一)

密室キングダム

密室キングダム

三が日のどこかで読了。まったくもって、上記『女王国の城』の感想が、たんじゅんに好みの問題だと気づいたのが本作を読んだ後で、どうも私は過剰な描写をこそ好む傾向にあるらしい。密室トリックの連打連打連打という構成、腰を抜かしそうになるサプライズ(笑)もさることながら、最後に示される殺害現場の描写に唸った。ううむ、これは、読む「デ・パルマ タッチ」だ!複雑な密室構造を何度も検証する描写は、一つのシーンを何度も繰り返してワンカットにまとめあげる超絶技巧を彷彿とさせる。最後のショッキングな仕掛けのために、作品全体の破綻をも厭わないという姿勢も、両者のサービス精神をひしひし感じさせるではないか。