第136回芥川賞

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芥川賞、23歳青山さん

第136回芥川・直木賞日本文学振興会主催)の選考委員会が16日、東京・築地の「新喜楽」で開かれ、芥川賞青山七恵さん(23)の「ひとり日和(びより)」(「文芸」06年秋号、河出書房新社刊)に決まった。直木賞は該当作がなかった。青山さんの芥川賞受賞は史上7番目の若さ。

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石原委員は「村上さんも僕も、芥川賞の選考で積極的に作品を推すのは珍しい。それが二人そろって同じ作品を推した」と前置きし、「都会のソリチュード(孤独)が一種のニヒリズムに裏打ちされ、今日的なものを感じさせる」と青山作品を評価。村上委員も「言葉の組み合わせが正確かつ厳密。会話が過不足なく表現され、小説の中の設定や小道具がきちんとピンポイントで収まっている」と技量の高さを指摘した。

 また、この作品が若い女性フリーターを描いたものである点について、村上委員は「フリーターがどういう生活をしているか、考え方を持っているかはどうでもいい。ただ一人の女性の生き方を正確に描くのは並大抵でない」。石原委員も「フリーターをただパターン化して人格を与えるのはナンセンス。いろんな人間がフリーターをしているわけだから」と補足した。報道陣から「若い受賞者に励ましを何か」と促され、「23歳なんて、おれの時(23歳3か月)に比べれば若くはないよ」と笑ってかわした。

http://symy.jp/?12n

テレビで記者会見の模様をみまして、印象的だったのは石原慎太郎とならんで村上龍が会見に臨んでいたこと。

たしか、この前に龍センセイが会見に出席されたのは、例の金原・綿矢ダブル受賞のときですかね。今回の受賞者も23歳、女性、と。

以前からわたくし、今時の若手女性ブンガク隆盛を80年代にあった『女の子エッチ漫画家ブーム』になぞらえ、『要は中高年インテリ(笑)がロリコンを公に語り始めただけじゃないの』と、なかば冗談で揶揄していたのですが、
http://d.hatena.ne.jp/beach_harapeko/20040125/p2
http://d.hatena.ne.jp/beach_harapeko/20040119/p3

でも今回、慎ちゃん龍ちゃんが並んでにやけているのを見ると、ああこの傾向はもう鉄板なのだなと思いました。

しかし、マッチョ右翼戦中派と、学生運動あがり団塊の、落としどころがロリコンって、寂しくね?ニホンブンガク。

こんな賞に落選して、ほんとうに星野智幸はよかったです。(というか、そういう傾向をずばり指摘して批判する作風だから、当然審査員に受け入れられるはずがないですね)是非、世界文学を目指してください。

【追記】

星野智幸氏のコメント。

芥川賞は新人のための賞です。私は新人を対象とする賞を、すでに2ついただいております。もはや新人ではないと思っている者が、いつまでも新しい書き手たちの集う界隈でうろついているのも見苦しいので、私は新人の舞台からは退場するつもりです。皆さんにも、できる限りそのように認識していただけると、ありがたいです。
 むろん、小説を書くことにおいて、新人とか受賞歴とかは、本当は関係ありません。書かれた小説がすべてです。でも、小説家という職業の者も、社会的存在なので、対外的には「新人」「〇〇受賞作家」のような意味づけや位置づけが時に必要とされることも事実です。私もその社会で活動をしている以上、自分の意識とはずれている「新人」のくくりをあえて受け入れてきた場合もあるわけです。
http://hoshinot.exblog.jp/5316268/

この清清しいコメントを読んで、小説がそのもので純粋に小説として読まれることと、現代において作家の人となりなど媒体に溢れる情報が否応なく作品の評価を左右する状況について、もっと精緻に書くべきだと、上の拙いエントリーについて反省しきりです。