優雅で感傷的な

などと、野球の話を書くと、アンテナ登録数が減るという傾向が(涙)

今回の騒動がここまで大きくなったのは、【近鉄バファローズ】というチームの持つ、なにか魔術的な力が働いたからではないかと思う。
例えばこれが【オリックスブルーウェーブ】と【西武ライオンズ】の合併であったら、案外すんなり10球団になっちゃったんじゃないか。あまりブルーウェーブ側からの抗議という話も聞かれなかったし。
近鉄バファローズ】は、パ・リーグでは改名していない最古の球団で、16年前の10月19日の【川崎劇場】や、日本シリーズでの3連勝のあとの4連敗、野茂・吉井を始め、最多大リーガー排出球団であったりと、野球にセンチメンタルな物語を求める人たちにはたまらないエピソードを数多く持っている(そんな自分もこんな文章をかつて書いた。まさにその日が運命の一日になる、とか、宮内オーナーが別のIT企業と組むとか、我ながらイイ線ついてんじゃん! http://harapeko.que.jp/archives/001733.html 笑)。
今回の対立は、旧世代オーナーと新世代選手会の対立と目されているが、面白いと思うのは、選手会を支援する世論やマスコミの論調が、例えばテレビ朝日のニュース番組で特集された【藤井寺球場物語】のように、古き良き時代のようなもの(川崎球場のような!)を想起させる、ノスタルジックな場所としての野球を擁護するものが多かったことだ。そこでしばしば引き合いに出される、あるべきプロ野球=球場の姿は、アメリカ大リーグやマイナーリーグの球場のイメージだったりするのだが、それもまた、古き良きアメリカ的な、日本ではありえないはずの、でも奇妙に懐かしさを感じさせる雰囲気を醸し出している(何故アメリカの『懐かしさの風景』が日本人に『懐かしさ』を感じさせるのか、はまた大きな問題だと思うがそれはまた別の機会)。
例えば先のオリンピックにおいて、物語性を排除し、徹底的に科学的にスポーツに取り組んだその結果が、大量のメダルに結びついた日本選手団の姿勢が評価される一方、【長嶋ジャパン】という物語の呪縛が、日本野球を世界的なベースボールに成し得なかったと総括したスポーツマスコミが、ことプロ野球に関しては、『野球を他のスポーツ同様、放送コンテンツと割り切り、世界展開を視野に入れた整理統合を行おうとした』オーナー達の合理性を評価せず、『奇妙にノスタルジックな物語(判官びいきという姿勢も含めて)を生み出す土壌の延命』以外の論点を提示し得なければ、プロ野球の持つポテンシャルを将来的には狭めることになりはしないだろうか。
【仙台宮城野球場】という、あたかも【川崎劇場】が復活したような時代錯誤を手放しで喜んではいけない。『ノスタルジックなプロ野球』が好きなのは、いまや30後半過ぎのオヤジだけですぜ。これからの子供たちのために、プロ野球も、もっとクールに科学的にいきましょうよ。