パウエル発言について

昨日の「パウエル発言削除」について考えたこと。
この発言は、実はなかなかやっかいで、「自衛隊という軍隊を派遣した国の市民であるボランティア」であるからこそ「国民は誇りに思え」という論旨。
これは日本の左右どちらの陣営にとっても相反する要素をふくんでいて、つまり「ボランティアに行く市民は自衛隊派遣を支持していない」し、「自衛隊を派遣した人たちは、公然とそれを軍隊とは呼べない」ジレンマを抱えている。

朝日新聞が発言を削除したのは、外部の風潮を気にしてではないか、と昨日書いたのだけれど、「自己責任バッシング」に対する批判として引用したはいいが、その相反する「自衛隊を誇れ」が朝日的コードに触れた、という推論もあるうるな、と、いくつかのサイト・日記を見回りながら思った。

こちらとか
http://d.hatena.ne.jp/kikori2660/

気付いたけど、アメリカに指示されての自衛隊派遣に反対する立場の人が、むしろアメリカ社会的な「よりよい市民」であり、自衛隊派遣によりアメリカとの関係が友好になるという立場の保守系の人たちは、たぶん、アメリカ的なグローバルな市民社会と折り合いが悪い(というか、むしろアメリカが嫌い)。

そういう感情に根ざした風潮を批判する為に、アメリカ要人の発言をもってくるのは、なかなか面白い試みだったとは思う。がしかし、55年体制的「保守・革新」の役割におけるアンチでしかない朝日新聞の内部には、やはり保守層と同じ「アメリカ嫌い」が潜んでいるのではないか。それが自らの論旨の矛盾に耐えきれなかった原因なのではないか。

※4/19注;この件に関し、朝日新聞より回答が寄せられています。ご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/beach_harapeko/20040419#p3

日本の左派の人たちは、この際、根拠の無い反米感情を一回捨て去らないと立ち行かないんじゃないだろうか。今回のことで、日本の右派が「反米」で一枚岩であることは明白になったわけだから。

『日本は公用語を英語にすべし』
『日本はアメリカ合衆国の一州として、合衆国憲法を戴くベきだ』
『自衛隊は合衆国軍隊に編入せよ』

てなことを、朝日新聞や日本共産党あたりが言い出したら、とっくに日本国籍のアメリカ人になっている、イラクで活躍してる人たちに追いつけると思います。