VJソフト

iBookの玩具性に気付かされたのはDVカメラを接続してiMovieで動画を取り込んだ正にその瞬間だった。
つないでポンで、あれよーとシーンがサムネール状に取り込まれてゆく。取り込んだシーンをタイムラインでカット&ペーストで並べてムービーらしきものができあがっていく。

初めてワープロで文章を書いたときに、コピー&ペーストで推敲するという新たな書き方を修得した。
初めてPhotoShopで『レイヤー』という考え方に出会い、画像を構造でとらえるようになった。
同じような新しいスタンスが『映像』に対して与えられたわけだ。これが興奮せずにいられようか。

技術の大衆化が、文章を、絵画を、写真を、そして映像をも玩具に変える。この楽しみは『カラオケ』のそれと同じだ。歌手という特権的存在にのみ許された『マイクパフォーマンス』を、技術力によって大衆化させ、音楽そのものの本質を(商業的に)変化させた偉大なるメイド・イン・ジャパン。

Blogは文章のカラオケだし、写メールは写真のカラオケだ。
DJだって、ちょっと前までは職人の世界だったのが、CDJの普及のおかげでいまや『30歳からのDJ』がどんどん誕生だ。これがカラオケでなくてなんなのか。VIVA!
http://www.monomagazine.com/monoonline/scripts/mag_special/489-001.asp

そんなわけで、昨日書いたイベント『KapoNight』http://alo.que.jp/kaponight/でVJをやってみることになったのは、手元にiBookとDVカメラがあって、店にプロジェクタがあったから。道を選ぶのは家にある機材であって才能ではないのが寂しいが、せっかくなので最大限楽しめるよう、VJソフトを入れてみた。

motion dive.tokyo か Fuse Infinity にするか結構迷って、秋葉原のSofmap CREATORS LAND に足を運んだり、こちらのサイトhttp://plaza4.mbn.or.jp/~miniature/motordrive/見たり。

誰かの参考になるように、僕なりに問題点を挙げておくと

1.マルチスクリーンができるか

■これに関してはPCそのものの機能がものを言う。
PCがマルチスクリーン対応(同時に複数のディスプレイに異なる解像度で画像を出力することができる)ならば、PCの画面上では操作コンソールを表示して、モニター(プロジェクター)上にはパフォーマンス画面のみ、ということが出来る。
それが出来ない場合、パフォーマンス画面表示を『全画面モード』にし、キーボードのみで操作もできるけど、VJソフトは操作できるパネルが多彩なので、コンソールを隠してキーボードのみってのは結構キツイ。
というわけでぜひ実現したいマルチスクリーン環境なのであるが、残念なことにiBookはこれに対応していない(PC画面と同一の画面を出力するミラーリングは可能。そういえばAppleStoreのお兄さんに『VJやるならPowerBook』と囁かれた記憶が。そんな予算はもとよりなかったんだが)。
ので、他にはスキャンコンバータという機材を使うか、プロジェクタの表示領域を調整するか、ソフトで対応させるか、となる。
motion dive.tokyo は、外部出力端子があれば、ソフトが出力をコントロールして、外部にはパフォーマンス画面のみ出力、なんてことをしてくれる、とパッケージに書いてある。FUSE は不可。

2.DVカメラからのライブ映像の取り込みはできるか

■ソフトで対応しているのは、店頭でよく見かけるものに限れば FUSE しか見当たらなかった。
店の人の話だと、プロのVJはみんなビデオミキサーを使うんだそうだが、プロでない僕はなんとかiBookのみで済ませたい。
しかし一度DVカメラで取り込んだライブ映像に、リアルタイムでエフェクトかけたりムービーのレイヤーかぶせたりしたらこれが面白い!のだよなあ。


つまりiBookとメジャー2ソフトのみの組み合わせで、1.と2.の両方を満たすことは出来ない訳だ。スキャンコンバータなりビデオミキサーの導入が必要となってしまう。

色々考えたわけだが、スキャンコンバータがせいぜい1万〜2万円に対し、ビデオミキサーは10万円前後からという価格差や、キーボード操作の煩わしさを我慢すれば擬似的に1.と2.の実現が可能、というわけで結局、Fuse Infinity を導入することに。


導入してみて、iBook で FUSE を使う利点がもうひとつ見つかった。FUSE が Motion Dive に比べて使い出が悪い点に、対応するファイル形式が QUICK TIME だということ。
WINDOWS マシンだとたぶん、QUICK TIME のムービー作るのは結構ソフトの用意含めて大変だと思うけれど、特に今のiBookであれば、iMovie で QUICK TIME が書き出せるので非常にラクチン。

DVカメラさえあれば、VHSでもDVDでもDVにコピーして、iMovie で細かく刻んで簡単なエフェクトかけて書き出せば、すぐに素材として使うことができるわけだ!フハッ!

そんなわけで、今までDV持ってても漫然と撮影していただけだったが、はっきりと『素材』として使うんだ、と意識してみると、見え方や撮り方も変わってくる。編集を意識した絵作りというか。これもまた『歌い方』を意識して音楽を聴く、カラオケ以降の音楽の消費のされ方に似ているわけだ。風景の消費とでもいえましょうか。


さて、イベント当日には、店のプロジェクタの解像度が調整できるか調べないといけないけど、最悪キーボード入力のみで操作しないといけないなと、今、習得の真っ最中なのです。

FUSE http://www.e-frontier.co.jp/fuse/index.html
motion dive.tokyo http://www.digitalstage.net/product/motiondive/index.html