木村太郎

上で引用したFNNの記事は、gooのネット記事で見つけたものだが、書いた直後に見たスーパーニュースで同じ記事が取り上げられていた(会談のほう)。

ニュースの内容は上記と変わらないのだけど、TVオリジナルで木村太郎のコメントがオプションで付いていて、曰く
『これは通商問題ですから・・・』
うっかり見ていて、前後の文脈を聞き落としたのだが、『通商問題』だから何がどうだと木村太郎は言いたかったのか。

推測1
『これは通商問題であるから、一日も早くアメリカの要求通り輸入を再開するのが、米国追従の現在の我が国の国益である』

というのが真っ先に浮かんだのだが、さすがに葉山でFM局を開局する伊達男・木村太郎がそんな浮ついたことを言うこともないだろう。というわけで

推測2
『これは通商問題、すなわち現在の国際社会における経済戦争の一局面である。今回のBSE問題はアメリカには致命的な不祥事、翻って我が国にとってはこの戦争を有利に進める千載一遇の切り札となりうる。これを盾に取り、コメを始めとする米国からの不平等きわまりない輸入関税の見直しや、その他諸貿易における各種交渉ごとをこの際強気で推しすすめ、世界の盟主などと戯けたことを抜かす連中を跪かせ、ふたたびジャパンアズナンバーワンの旗を世界に翻すのだ!』

ああ、これだ。これなら同じ湘南在住の都知事も大喜びで、次あたり神奈川県知事に立候補してもきっと当選だ!

村上龍がことあるごとに、日本の、農業団体などを基盤とする保守の政治家は、政党政策上、親米を支持しながらも内心はアメリカが大嫌いで、その反動として超ナショナリズムが一気に吹き出す可能性があると言っていて、それはその通りだと思う。

たとえば前述した吉野家で喧嘩した男の台詞、
『なんで牛丼屋で牛丼が食えないんだ』
は、本来、安価な日用食を自国の産物で賄えない農政の失策に対して向けられるべき怒りであるが、それを米国的・多国籍的企業戦略に対する怒りにすり替えてやることは、結構簡単なことなのではないか。

始末が悪いことに、直接的に経済的な影響を被る農家だけでなく、都市生活者の中に共有されている、『自然志向』『環境重視』といった漠然とはしているけど、なにか清潔で正しそうな『気分』は、そのまま『反グローバリズム』という『気分』にすり替わっちゃうという性格を持っている。

ここまで書いてきて冒頭に戻るんだけど、じゃあそんなめんどくさくて説教臭い『気分』なんて忘れてしまって、とりあえず僕らの大好きな牛丼がなくなることでお祭り騒ぎしようぜ!というのが今回の『気分』なのか!?だとしたら日本人はもう、ナショナリズムとグローバリズムのせめぎ合いという極めて21世紀初頭的『気分』をすでに突破し、どこか彼方に到達してしまったというのかしらん!?

あ、わかった!もうみんな狂牛丼病に・・・(ベタなオチ!とほほ)