さらにひきこもって

『子どもの王様』殊能将之ISBN:406270563X
ドリルホール・イン・マイ・ブレイン舞城王太郎小説現代10月増刊号「ファウスト」掲載)

すごく好きな二人の新作を一日で読んでしまうとはなんと贅沢な。でもどちらも短くて喰いたリない。

団地・母子家庭・鍵ッ子の小学生という、自分の小学生時分と境遇が同じ主人公の『子どもの王様』は、昭和50年代の夜の団地の、悪や危険すら徘徊していない、真っ暗で何もない寂しさを味わえて切なくも懐かしい。子どものころの思い出って、いいことないなあ、俺。小出しにされる例のウンチクもまた楽しい。

舞城作は同意反復がおそらく意図的に繰り返され、ストリーテリングより文圧の向上に主眼がおかれている(?)文章を読むことが、まるでSheetsOfSoundの完成を目指していた時期のコルトレーンの、常人離れした長時間にわたるライブ盤を聴く苦痛に似て、それだけにこの分量では全然足りませんワ、とマゾな舞城ファンは思うのであった。motto ippai ikasetekudasai ♪

しかし、講談社の本ばかり読んでるな。