『[[古尾谷雅人]]』

60本以上の映画で光を放ちつづけたこの古尾谷という才能は、きっと映画の天使に見守られ続けた男であったにちがいない。ただ、彼は生きて永遠に輝きつづけることは絶対的に不可能であるという『宇宙の法則』に圧倒的に敗北したのだ。(中略)古尾谷は2度死んだ。1度目は映画『宇宙の法則』の中で。2度目は現実で。彼は『宇宙の法則』に逆らい、超えることが出来たのか。いや、超えられなかったのだ。断じて映画の天使、名美は彼のことを許さないであろう。個人的になんだか口惜しくてしかたがない。(鋭)

数年前、安田成美主演のドラマ『リミット』で、海外に高飛びした犯人を追う刑事を、手助けする密航船の船長役が古尾谷でした。
刑事は佐藤浩市。
ここ十数年の日本映画を支えた二人の鋭い眼光が、テレビの画面とは正面から交わされる(しかも船の中と言う狭い空間の中で)その緊張感に身震いしました。
二人が同じ画面で対峙したのは実はあとにも先にもこの時だけで(「ホワイトアウト」で共演はしているが、出演シーンはかぶっていない)さすがは野沢尚、日本のオリヴァーストーンよろしく、男優のキャスティングが良いなあ、と思いました。