映画

『オペレッタ狸御殿』(鈴木清順)

きのうがアレ*1で今日がコレとで気が狂いそうだ。書き割り然とした書き割り、横長に舞台を切り取った画面構成、めまぐるしい舞台転換と衣装替え、唐突に歌い舞踊る登場人物たちと、まったく共通点の多い両者だが、世間的にある程度、世界観が受容されている…

スゴバン!すごい番組がありました/テレビマンユニオン・レトロスペクティブPart.1

浦沢義雄が脚本をてがけていた『うたう!大龍宮城』に、心に残るシーンがある。話はうろ覚えで、たしか主人公の乙姫のところに、どこかの国の王子がやってくる。王子はその滞在期間中に誰かに恋をして、その相手を妻にしなければならないとかいう設定だった…

『霊感のない刑事(全長版)』篠崎誠監督

4月23日(土)@アテネフランセ対象を描写し尽くそうという意志は実験体を腑分けする科学的好奇や、愛玩する命を剥製や蝋人形化することで時とともに閉じ込めてしまおうという貪欲な所有愛に似てきて、それはどちらにせよ対象を殺し、死を刻み込むという…

岡本喜八監督の遺稿について

『映画をめぐる怠惰な日常』id:molmotさんが、岡本喜八監督の遺稿『幻燈辻馬車』について『(晩年の実質的なパートナーであった)岡本みね子さんが監督するのが適任ではないか』と仰っていて、なるほど深作親子で引き継いだ『バトル・ロワイアルII』の例もあ…

映画批評のコトバ

映画レビューってのは悪口でもいいんだよ 金出してわざわざ交通費かけて見に行ったんだよ。 映画の製作者側がどんなに苦労して作ったかどうかは関係ないよん、要は出した金に匹敵する作品かどうかだよん。 ○○○は1800円出してまで、見るに値しないと言ってる…

カンフーハッスル

1. 久しぶりに、座席指定でない映画館で映画を見る。 座席が指定されず、ロビーにキャラメル臭がしない映画館はもはや少数派なのだろうが、しかしその事態の深刻さからいかに評論家が目を背けているかは、キネ旬ベスト10に『世界の中心で、愛をさけぶ』がラ…

『いま、会いにゆきます』

実はこの、同時期に邦画3社で封切られた3本を並べて、『日本の家庭トリロジー』として論じてみようと、気乗りはしないままにこの映画も見たのだが、まずは中年既婚男性には、非常に辛い映画であったと告白しておこう。 で、結論から先に書く。 『いつまでも…

『海猫』

『血と骨』が、理不尽な暴力をふるう父親と、それに耐える母親という前近代的な家庭の崩壊を描いた映画だったとすれば、この『海猫』は、その象徴的な『父親』亡きあとの日本の家庭で起こった悲劇であると、対置することが出来る。 映画の舞台は、80年代(原…

『血と骨』

崔洋一は暴力映画の第一人者と思われていそうだが、実は作品中に直接的な暴力描写はあまりなかったりする。むしろ、暴力に代表される人間の営みの混沌と緊張で画面を埋め尽くす手法が、暴力的、な快感として観客に刷り込まれているのではないか。 とはいえか…

東京国際映画祭前売りチケット、ほぼ即日完売

また、日本映画・ある視点の異色を放つ『ハサミ男』(主演:豊川悦司)も5分で完売した。 http://movies.yahoo.co.jp/m2?ty=nd&id=20041022-00000005-flix-ent これを見逃すともう見られないと思ってる人が多いからでしょうか。 それとも会場で殊能将之が見…

ドリーマーズ

職場の近くに出来たBook1stはビジネス街にあっては独自なセレクションをしているので(翻訳書やコミックが多い)わりと頻繁に立ち寄るのだが、なかでも大きくスペースを取っている【絵本コーナー】がなんか不快。いや、品揃えはいいと思うのだけれど、100%オ…

NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE

■id:matterhornさんの映画評が面白い。お笑いにも造詣の深い氏の「見る=見られる」 存在としての「キャラクター観」に基づいた独自の切り口の鋭さにいつも感服しているのだが、 今度公開された『忍者ハットリくん』という映画も、まだ観ていないが既に今か…

諸般の事情により、本日分の感想削除。 もうすこしたってから、再度エントリーします。

『風音』(東陽一)

@ユーロスペース。老人の撮る映画には迷いがない。演技が新派くさくとも素人くさくとも、なにか定まった映画の箇所に力ずくでそれらを嵌めていく手際に呆然としているうちに、カンラカラと高笑いする爺の思惑にのせられて、すっかり画面に見入ってしまう。要…

欲望(ミケランジェロ・アントニオーニ)

at MoviePlusまた66年の映画。初見。脱線脱線また脱線。『偶然撮影した写真を引き伸ばし(BlowUp)してみたら、あらうっかり殺人が映ってました!』というプロット以上のストーリーがなかったので愕然。 しかし、40年前と今の映画を比較する上で、『うっかり…

ローズマリーの赤ちゃん

6日(金)、at WOWOW。 デジタル修復された古いフィルム独特の毒々しい真っ赤な花束に目が釘付けになり、なんだこの映画はと思っていたらジョン・カサヴェテスがにやにやと現れて、ああローズマリーの赤ちゃんかと最後まで観てしまう。 アパートの一室に赤…

世界の中心で、愛をさけぶ

世間に遅れること数ヶ月、今更ながら観るのだから、世間様とはちがったひねくれた感想でも残してやろうと(この場合は絶賛しようと)鑑賞ポイントをあらかじめ想定しておいた。 前情報で『残された方の人たちのパートが大量に追加された』と聞いていたので、…

自主映画でも

つくるかー、と友人と話をしていたおかげで、最近こんな夢を見る。

日本で一番早い“華氏911”レビュー!

一番早い、はまあ誇大広告ですが(笑)、『マトリックス・レボリューション』『ラスト・サムライ』に続き、LAから“生のアメリカ人、かく映画を見る!”レポートを送ってくれた、ドラゴン・リーこと李小田氏の新作レビューに“華氏911”登場!しかも今回社会派!…

篠田昇さんのもうひとつの仕事

『ライフカードのCMを作っているひとびと』 http://harapeko.que.jp/archives/001730.htmlあー、あれかあ、と懐かしい。 と、思ったら、あの人もこの人も。 篠田さんが大好きだったビートルズのナンバーが流れる中、「ウイダーinゼリー」のCMを撮影して…

篠田昇さん追悼文

元ディレカンで助監督やってた友人による、篠田昇さん追悼文『シノさんの遺したもの〜追悼・篠田昇』 http://harapeko.que.jp/archives/001725.html篠田さんというと、はてなでは岩井俊二監督作をあげる人が多いようですが、僕は井筒和幸の2大傑作『宇宙の…

映画撮影監督の篠田昇さん死去

ううん、またひとり、宇宙の法則に召されてしまったか・・・合掌【訃報】 http://www.asahi.com/obituaries/update/0623/002.html 【関連】 http://www002.upp.so-net.ne.jp/harapeko/2003_03_23_beach_harapeko_archive.html

デルトロ

あいかわらず慣れない仕事で、日記を書く余裕がありまへん。 ので、小咄。家で家内と、とある映画雑誌のグラビアで【ベニチオ・デル・トロ】の写真を見ていた時のこと。 『この人、誰かに似ているんだよね〜』と夫婦で首をひねっているところに、息子(4歳…

CASSHERN(つづき)

この、作品が観客に接するときに発揮する『暴力性』にこだわったのが、CASSHERNだったんじゃないか、と前のエントリーで書いた。そのとき、それは監督の意図するところだったのかどうか、疑問があったのだけど、どうも意図的だったみたい。 既成概念に対する…

エレファント

2人組が出てこないと、ガス・ヴァン・サントはつまらない。 この文章を書く前に、テレビで『チェンジング・レーン』に出ているベン・アフレックを見ながらそう気付いた。 ベンって、本当はたいして格好よくもないマット・デイモンをひきたてる為に、ずっと…

CASSHERN

なんで私は映画を観るのか。つうか何を期待して映画館に行くのか、というほうが正しいか。 もちろん、何がしかの、その映画でしかえられぬ未知の体験をしにいくのだ、と常に言えればいいのだが、とにかく何か引っかかりがあるものを、端から観ていく生活も出…

新「ピンクパンサー」

http://www.eiga.com/buzz/040309/07.shtml スティーブ・マーティンがジャック・クルーゾー警部に決定している新「ピンクパンサー」に、ジャン・レノの参加が決まった。役柄は運転手に扮したおとり捜査官役だとか。さらに、デスティニーズ・チャイルドのビヨ…

世界の中心で、愛をさけぶ

さて、公開まで2ヶ月をきった『世界の中心で、愛をさけぶ』ですが、未だにWEB上で予告編はおろか、公式サイトすらオープンしていないのは何故だろう。 原作はこないだ書いたhttp://d.hatena.ne.jp/beach_harapeko/20040226ように中身もなにもないスカ小説に…

[[つきせぬ想い]](イー・トンシン)ASIN:B00018GY1A

若く美しい恋人が、突然の病で命を失うというベタな展開ながら、かつてそれを観たときに『世界の〜』とは比べ物にならない感動を覚えたのが、93年の香港映画『つきせぬ想い』だった。(『世界の〜』を読んでいるときに、この映画を思い出しながら、この本の…

『すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために』

成城トランスカレッジ.com! http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/text/oitakanozyono.htmこないだ本屋で立ち読みした『映画芸術』、荒井晴彦やらスガ秀実やらが座談会で、現代日本映画の歴史観の欠如について強く批判しつつ、スガの『革命的な、あまりに革命…